雪がちらほら降り、落ち葉を濡らす11月のはじめ、宮丘公園へ行った。
ここは熊出没有名で、入口にも「熊注意」の大きなサインがあった。
公園というには広大すぎる331,611㎡(東京ドームおよそ6コ分)の敷地面積で、西区の中では最大規模。
札幌では「公園」といっても、山一帯が公園のようなスケールのものも多く、行ってみて驚くこともしばしば。

シカやリスと思われる足跡がちらほらあるが、この日は姿は見えなかった。
NHK北海道の番組「北海道道」の『北大クマ研物語~ヒグマ研究にかける若者たち』の回で、ヒグマの痕跡調査をする学生が「クマの姿が見えないからこそ、想像するおもしろさがある。息づかいを感じて”実際にいたんだな”と感じるのが最高」と言っていたのを思い出した。
(この回は最高にワクワクした。みんな見てほしい)
そしてこの日、ひときわ印象に残ったのが、遠くで発光している樹。
すでに西日になりつつある時間帯、山の景色の中で、その樹の部分だけ銀色に輝いていた。
近づいてみて、Googleレンズで調べると「銀泥(ぎんどろ)」(学名:Populus alba、別名:ウラジロハコヤナギ、ハクヨウ)
裏面に銀白色の綿毛があり、風でひるがえると銀色に輝くようだ。
街路樹として一般的なようだが、はじめて目にとまり、「え?あそこ何か光ってない??何なに?」と目を疑うような異質な輝きだった。
そして、先日ニュージーランドの本を読んでいて、ラグビーのニュージーランド代表などに使用されているシダ植物・シルバーファーンのことを知った。

ニュージーランドの国章としても使用されており、銀泥と同様に裏側が銀白色。
マオリの人々からは信仰の対象として崇められ、月あかりに照らされるとぼんやりと光ることから、夜間の戦闘時に、仲間に自分の位置を知らせる道しるべとして使用されていたのだそう。
そうしたエピソードを聞いて、すとんと腑に落ち簡単に想像できるほど、銀泥が見せてくれた光景は印象的だった。
自分の中で沸き起こった小さな驚きが、遠い国の、時代を超えた人たちの感覚と共鳴したこと。その知覚を忘れずにいたいし、これからもどんどん自然に入っていくことで体感したいと思った。
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